天願大介のなまずブログ

2014年5月22日

映画館でないところで上映するということ

「魔王」初公開は渋谷 アップリンク ファクトリー。 初日はキャストと監督により舞台挨拶が行われた。
川崎市アートセンター
新宿永谷ビル、会議室はここの8F。
永谷ビル1Fの永谷ホールFu-
下北沢アトリエ乾電池
大久保の居酒屋「としちゃん2号店」
新宿ゴールデン街劇場に鑑賞と激励に来てくれた月船さん。
三軒茶屋「栄湯」
文殊山永福寺で魔王をご鑑賞いただいた皆様。

今は次の作品の脚本に着手したところだ。どんな映画になるか、書き終えるまで自分でもわからない。面白いかつまらないかもわからない。書いているうち、ざわざわと何かが動き出す。書かなければ動かないので書くしかないのである。

なまず映画を始めようと思ったとき、まず映画館で上映しないことを決めた。

映画が生まれたときは映画館は存在していない。最初に映画があって、それから映画館ができた。当たり前だ。演劇がまずあって、それから劇場が生まれた。芸人がいて寄席ができた。泳げるやつがいてプールができた。馬車が普及して舗装道路が作られた。物事には順序というものがある。

しかしいつの間にか、最初から映画館というものがあってそこで映画を上映するのが当たり前だと思うようになり、映画館で上映したものだけを映画と認める、などという倒錯が起きてくる。

俺だって、これまで当たり前のように自分の作品を映画館で上映してきたけど、一度原点に戻ってみるのも面白いと思ったのだ。

で、我々はいろんなところで上映を続けている。最初は映画ファンが知ってくれることを期待して、渋谷のアップリンクを借りて上映をスタート。川崎のアートセンターも同じで、一日いくらで借りて上映した。

歌舞伎町の永谷ビルの会議室は何度もお借りした。ここの社長は芸事に理解があるので有名な人。このビルの地下には「Fu」というライブスペースもあって(芸人のライブで有名)、一度ここでも上映した。大久保の奥座敷としちゃん(居酒屋)にもお世話になった。ここは好評につきもう一度上映する予定。ゴールデン街劇場でも三日間やってみた。意外にも終わった後ゴールデン街にあまり流れない。下北沢の東京乾電池のアトリエでは柄本一家勢揃いで観てくれた。

三軒茶屋の銭湯栄湯の脱衣所では日没を待って上映(銭湯は外光が入るように作られているから)。綾瀬のお寺養福寺では、住職一家が手伝ってくれて檀家の皆さんにも観てもらった。お寺で『魔王』を上映してくれるのだから仏教は懐が深い。

今週末はゴールデン街の外波山文明さんの店クラクラで上映する予定。その後は川崎アートセンターで上映後の田辺秋守氏と俺の解説トークつきで。翌週は永谷ビルの会議室。

来月は高円寺の有名な立ち食い蕎麦「大車輪」、大塚のライブバー「バックビート」、としちゃん再び、初の地方上映になる名古屋シアターカフェ、そしてザムザ阿佐ヶ谷(こちらも田辺氏とのトーク付)。その後は新作の準備に入るのでしばらくお休みになります。こうして並べてみると、いろんなところでやってる感じがするでしょう?

やってみてわかったんだけど、実は映画って、いろんなところで上映できるのである。

時間があれば俺も顔を出している。お客さんの顔も見えるし出会いもある。通りがかりにボスターを見て飛び込んでくる人もいるし、何がなんだかわからなくてもその場所と縁があるので顔を出してくれる人もいる。気に入ってくれたのか、もう一度観に来てくれる人もいる。

上映は楽しい。しかし金のない俺たちには大変なことだ。お客が少ないときは心が折れそうになる。雨が降ったりして客足が遠のいた会場の外で、プロデューサーの弟と「これは修行なのだ」と慰め合ったりする。

人生は修行である。過酷な修行なくして成長などないことは『空手バカ一代』で学んだ。愚かな我々は、ひたすら粘り強くやっていくしかない。あらためて、上映してこそ映画だということを実感する毎日である。やはり原点に戻ることは重要だ。

繰り返すが『魔王』は映画館で上映しない。試写会もやらない。だから映画評論家やマスコミの連中は誰も観に来ない。全国公開はできない。配信したり放映したりすることもない。DVDにもしない。

映画館では観られない一風変わった映画を観たいと思う奇特な人が、どこでやっているかを自分で探して観に来る。それがなまず映画だ。

もしどこかでポスターを見かけたら、これも縁だと諦めて、運命に逆らわず是非ご覧下さい。

これまで観たことのない映画であることは保証いたします。

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