天願大介のなまずブログ
いよいよ第二弾始動!
性懲りもなく、我々は再び、なまず映画の製作準備に入っている。
新作はこの夏撮影する予定である。第一回作品の「魔王」の続編だ。
タイトルも決定した。「赤の女王 牛る馬猪ふ」。「牛る馬猪ふ」はゴルバチョフと読む(ちなみに前作では「ゴルバチョフ」という名前のステーキハウスが重要な舞台となった。今作では「ティモシェンコ」というスナックが出てくる。映画の中身はロシアともウクライナともまったく関係ない)。

「赤の女王」とは「鏡の国のアリス」に出てくるチェスの女王のことだ。アリスは女王を追いかけて全速力で走るが風景は一向に変わらず、女王との距離も縮まらない。へとへとになったアリスが「わたしの国ではこんなに走ったら、たいていどこかに着きます」と訴えると、女王は「ここでは同じ場所にいるためには全力で走らなければならない」と言う。もちろんタイトルだけで、映画に赤の女王が直接出るわけではない。
映画の内容はまだ秘密だが、今俺にこの世界がどう見えているかを描いているのは一緒だ。同じ「説明しにくい」「わかりにくい」映画でも、その味わいは随分違っていると思う。って、これでは何の説明にもなっていないな。
ではヒントを少し。昔から免疫に関心があって勉強してきた。「赤の女王」の脚本にもそれが少し反映されている。ヒトゲノム解析以来、医学生理学の大きな発見はほとんど免疫のことばかりで、巨額の金が動くから学者や製薬会社は狂躁状態だ(それでもまだ、人間についてほんの少しわかってきたという程度のことでしかない)。免疫とは外敵から生命を守る優れたシステムだが、その複雑なバランスが狂うと免疫が暴走し、自分自身を攻撃することがある。ヒントはここまで。
ヒント2。今回は「言葉」についての実験も加えてみた。「魔王」では相手の反応を無視して喋り続け、相手が我慢できなくなって反撃した途端に絡め取って食い尽くす、捕食動物的台詞を意識した。日本語の独特のリズムを研究してきた俺は、今回は意味を超越したコミュニケーションに挑戦してみた。
ヒント3。「赤の女王」は嘉子が魔王を切腹させた後の物語になる。平和を取り戻した田舎町にまた異変が起こるわけだ。今回は動物を登場させたいと思い、牛、鶏、アヒル、ウサギ、虫などが出演する予定だ。映画のスケールがアップすることは間違いない。
え? ヒントになってないって? ……ああ、やっぱり何を言っているのかわからないか。
脚本を書くのに具体的な事物はもちろん必要になる。しかし、それは実はどうでもよくて、一番大切なのは、その具体に刺激されて現れるイメージのほうだ。だから映画に映っている事物はそのイメージを内容しているわけで、我々はその事物自体を撮りたいわけではないのだ。長くなるので、そのことはまた書きます。
ともかく、出発点に「免疫」「言葉」「アヒル」などがあったとして、それがどう転がって作品(終着点)に辿り着いたか、そこのアクロバットこそが腕の見せ所になる。作品が完成し、見た後で是非これを読み返して欲しい。
もちろん動物だけでなく、魅力的な俳優たちが参加してくれます。暑い夏のなまず映画を、どうかご期待下さい。
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