天願大介のなまずブログ
『赤の女王』12月27日公開決定! 現在編集中ですが。
9月の上旬、我々は『赤の女王』千葉ロケから生還した。 この夏は後半天候が不安定で雨に祟られ、予想より早く秋が来てしまった。気象環境も含め外部の条件を取り込むのが映画だから、それはそれで撮るだけである。 『魔王』のときの、異常な寒さもあって地獄の一歩手前と言われた合宿環境は、過酷な状況を愛する松浦祐也が「何か物足りない」と呟くぐらいには快適になった(『魔王』のときは寝袋だった松浦君も今回布団で寝ることができた)。
現在は都内某所の廃屋で密かに編集を始めている。
監督にとって編集作業は実にクリエイティブで実に苦しいものだ。撮影現場でうまくいったと思っていたことがそうでなかったり、その逆もある。冷静だったつもりでもやはり現場では高揚していて、編集ではそのものの形がはっきり見えてしまう。それ以上でも以下でもない。それを確認することから闘いは始まる。だから苦しいのだ。
編集はバラバラに撮ったカットをコンテ通りに繋ぐだけの仕事ではない。というかコンテ通りに繋いでから本当の仕事が始まるのだ。編集は撮った映像で脚本を書き直す作業でもある。冷静に台詞や俳優の演技を確認し解釈し、それを置く場所、その長さ、効果などを熟考し、映画全体のバランスを取っていく。だから撮影時の脚本(撮影稿)と完成した映画を書き起こしたもの(完成台本)はかなり違っている。
構成も台詞も脚本通りだとしても、語り口は編集で決まってしまう。滑らかに違和感なく繋ぐべきかゴツゴツした手触りがいいか。囁くように語るか激しく叩きつけるか。導入から中盤、クライマックスへの流れはこれでいいか。細かく割るべきか長回しを使うべきか。何を選ぶかで切り方繋ぎ方が異なる。
どこにも正解はない。まだ見ぬ観客が受けるであろう印象と感情の動き、知性と美意識を想像しながら、悩み、もがき、絶望し、極端な表現を試し、すぐ諦め、何度も何度も撮った素材を見てはまた悩む。夢の中にまで撮った場面が出てくる。
俺は映画の秘密を編集で学んだ。編集がわからなければ映画は作れない。ほんのちょっとした違いで映画の印象は変わってしまう。やってみればわかるが、驚くほど微妙なのだ。だから集中し続けなければならない。撮影現場の荒々しい世界と違い、ずっと座ったままだけど、編集仕上げは神経戦で、へとへとになる。 俺にとっては脚本が第一の現場、撮影が第二の現場(普通はこれが第一現場)、編集仕上げが第三の現場のようなものだ。脚本で苦しみロケハンで苦しみキャスティングで苦しみ衣装合わせで苦しみ撮影現場で苦しみ編集で苦しみ音の仕上げで苦しむ。苦しむのは何とか「表現」したいからだ。どんな表現であれ、作り手の苦しみがなければコクは出ない。 俺の映画は完成していない。まだ誰も見ていない。つまり勝負は終わっていない。勝つためにリングに立ってるんだから、ぶっ倒れるまで粘って当然だろう。
というわけで現在苦しみながら編集中の『赤の女王』は、年末の12月27日ザムザ阿佐ヶ谷で上映をスタートする。
もちろん『魔王』の上映も再開する。『魔王』と『赤の女王』、なまず映画の渾身の2作品は、またいろんな場所で上映していきますのでよろしく。
http://www.laputa-jp.com/zamza/main/
ちなみに『魔王』は10月21日に大阪中之島で上映することも決まった。シネ・ヌーヴォ代表の影山理氏との対談トーク付き。関西アングラの雄・維新派が中之島GATEサウスピアの野外で「透視図」の公演をしていて、休演日に屋台村を借りての上映である。関西にお住まいの方は是非この機会に。
編集仕上げが第三の現場だとすれば完成後の上映はなまず映画第四の現場だ。これは観客の皆さんと共闘する現場で、映画は見てもらってはじめて完結する。
俺は馬鹿だから、まだなまず映画に映画の新しい可能性があると信じている。『赤の女王』は『魔王』とまた違ったテイストのなまず映画です。
映画館ではないどこかで、あなたと会える日を楽しみにしています。
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